問題
Q、チェックしておくべき改正は?
▼答え
○株主名簿・新株予約権原簿の閲覧請求権拒絶事由「競業関係」の廃止(125条3項3号、252条3項3号)。
○株式併合の差異に、発行可能株式総数を総会決議によって定めなければならず、かつ総数は併合の効力発生日における発行済株式総数の4倍を超えることはできない、とされた。
○総会決議取消訴訟の原告適格について、決議取消によって株主となる者にも明文で適格を認めた。
○委員会設置会社は「指名委員会等設置会社」に名を変え、それとは別に通常の取締役会設置会社に「監査委員会」のみを加えた「監査等委員会設置会社」が新設された。
○社外取締役・監査役について、
1、不適格事由が①その会社の取締役・執行役・支配人その他の重要な使用人または支配株主の近親者(配偶者・2親等内の親族)、②その会社の支配株主や、親会社の業務執行に関与する者(取締役・執行役・支配人、その他の使用人)、監査役については親会社の監査役、と厳しくなる。(改正前2条15号、16号。)
2、一方でその会社か子会社で業務執行取締役、執行役、支配人、その他の使用人となったことがある者は永続的に不適格とされていたところ、10年が経過した者は適格を有するとされた。
○取締役会が決定する総会に提出される選解任決議案につき、監査役会が拒否権を持ち、かつ提案権も持つようになった。
○一定の規模の子会社役員の責任について、当該子会社・最終完全親会社が責任追及しない場合、最終完全親会社の株主が当該子会社に責任を追及するよう請求し、それがされない場合に子会社のための特定責任追及の訴え提起を少数株主権として認めることとした。
○株主交換・移転、吸収合併をした場合に、交換等の効力が生じた6ヶ月前から効力発生日まで引き続き株主であったものは、対価として得た株式を有している限り、交換等の効力発生時までに原因事実が生じた責任や義務についての追及を当該会社に請求でき、これがなされないときはこの会社のために提起することができる、とされた。
○募集株式発行につき、発行後に引受人が保有する株式数が、総株主の議決権の2分の1を超える場合、あらかじめその特定引受人についての事項を株主達に通知する必要がある。(206条の2)。そして一定の株主がこれに対して反対の通知をした場合は、総会決議による承認を受けなければならない。
○募集株式で仮想払込があった場合、引受人は会社に支払義務を負う(213条の2)。関与取締役も同様。
設立時の出資、募集新株予約権、新株予約権行使についても同様の規定あり。
○株式会社の総株主の議決権の9割以上を有する株主は、当該会社の他の株主に対して、保有株式全部を売り渡すよう請求できるようになった(179条)。
○全部取得条項付酒類株式の取得について、再編と同様の事前開示、事後開示手続を設けると共に、株主による差止請求権の規定も設けた。(171条の2~3)
○株式併合により、1株未満の端数が生じる場合、反対株主は会社に対して端数の全部を公正な価格で買い取るよう請求できるようになった(182条の4)。
○再編における株式買取請求をした場合、株券発行会社では株券を会社に提出しなければならず、振替株式である場合は会社の買取口座に振替申請をしなければならないとし、請求後に反対株主が投機目的で市場売却することを制限した。
○買取請求について、以前は代金支払日に買取りの効力が生じるとされていたところ、再編行為の効力発生日に変更された。
○買取請求で裁判所に公正な価格を定めてもらう前でも、会社は適正と認める額を先に仮払いできるようになった。
利息対策。
○簡易組織再編での株式買取請求権を撤廃した。簡易の事業譲受の場合も同様。
○組織再編において、差止請求が制度化(784条の2、796条の2)
○分割会社が詐害行為で分割をした場合、残存債権者は契約内容に関わらず、承継会社が承継した財産価額を限度として、承継会社に対して債務の履行請求ができるようになった(759条4項、761条4項、764条4項、766条4項)。ただし承継会社が詐害について知らなかった場合は適用されない。また適用除外の場合もある。
○分割において、格別の催告を受けなかった債権者は分割会社に知れていたか否かに関わりなく、承継会社に連帯債務請求できることになった。改正前は、分割会社が知っているにも関わらず各別の催告をしなかった債権者のみ。
○会社が子会社の株式・持分の全部、一部を譲渡する場合に、一定の場合を除いて総会特別決議を必要とした。
事業譲渡と同様の性格を持つためで、譲渡自体に事業譲渡への規制がかかるようになった。
以上