問題
Q日常家事の範囲
▼答え
①761条は日常の家事処理の便宜を図るものであるため、その前提として夫婦相互間の代理権まで認めている。
そして日常家事の範囲内かは、内部的事情や目的だけでなく、客観的に行為の性質なども考慮して判断する。これは761条が夫婦の一方と取引をする第三者を保護することも目的としているからである。
②もっともこの代理権を理由に広く表見代理を認めると、夫婦の財産的独立を損なう。しかし相手方保護も必要。
③よって相手方においてその行為が当該夫婦の日常家事の範囲内に属すると信じるにつき、正当な理由がある場合には「110条の趣旨」を類推適用して効果が本人に帰属するとすべき。
(また一種の法定代理であるが、結婚という行為は当事者の意思にかかっている点で、単なる法定代理と異なり帰責性があるということができるため、通常の法定代理の場合と異なる。)