平成27年(刑法)

予備試験【短答】過去問|刑法平成27年第5問|解説番号287

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刑法287問目(予備)

問題

次の事例に関する会話につき、下の記述は正しいといえるか。


【事例】
甲は、乙に対し、殺意をもって、拳銃の引き金を引いて銃弾1発を発射し、乙の胸部に命中させて乙を殺害した。甲が拳銃で乙に狙いを付ける直前、乙は、甲に対し、殺意をもって、拳銃で狙いを付けて引き金を引こうとしていたものの、甲が発射した銃弾によって死亡したことから、引き金を引くには至らなかった。なお、甲は、乙が拳銃で自己に狙いを付けていることを知らなかった。

【会話】

学生A.甲の行為は、殺人罪の構成要件に該当する。そして、正当防衛の成立要件として、防衛の意思が必要であると考えると、甲には①(a.殺人既遂罪が成立し・b.正当防衛が認められ)、防衛の意思は不要であると考えると、甲には②(c.殺人既遂罪が成立する・d.正当防衛が認められる)ことになる。

学生B.最近では、防衛の意思必要説、不要説のいずれからも、甲には殺人未遂罪が成立し得るという見解が有力に主張されている。防衛の意思必要説からの殺人未遂罪説は、違法性は行為無価値と結果無価値の総合から構成されるという違法二元論を根拠とし、③(e.行為無価値の存在と結果無価値の欠如・f.行為無価値の欠如と結果無価値の存在)を理由に、一方、防衛の意思不要説からの殺人未遂罪説は、④(g.適法・h.違法)な結果が発生する具体的危険があることを理由に、それぞれ殺人未遂罪が成立し得ると説明している。

学生A.しかし、防衛の意思不要説からの殺人未遂罪説に対しては、⑤(i.「侵害はよいが侵害を試みることは許されない」・j.「侵害を試みることはよいが侵害は許されない」)ことになるとの批判がある。

学生B.もともと、防衛の意思不要説からの殺人未遂罪説が問題にしている危険は、⑥(k.別のあり得た違法結果・l.当該結果)を発生させる危険ではなく、⑦(m.別のあり得た違法結果・n.当該結果)を発生させる危険と言われている。だから、その批判は当たらない。

学生A.いずれにせよ、殺人未遂罪説は、実際に乙が死亡しているのだから、罪刑法定主義上、問題があると思う。

学生B.刑法第43条は、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」と規定しており、これを、⑧(o.構成要件的結果・p.構成要件に該当する違法な結果)が発生しなかったという意味に理解すれば、文言解釈としての問題はないと思う。


⑧にはoが入る。

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