刑法356問目(予備)
次の事例における、甲の罪責についての下記会話につき、下の記述は正しいといえるか。
【事例】
甲は、乙が甲に向けて拳銃を発射してきたので、防衛のため、殺意をもって、携帯していた拳銃を乙に向けて発射した。その弾丸は、乙に当たり乙を死亡させるとともに、乙を貫通して、たまたま乙のそばを通り掛かった丙にも当たって丙を死亡させた。
【会話】
学生A.私は、甲の行為は、乙に対する殺人既遂罪と丙に対する殺人既遂罪の構成要件に該当すると考えます。そして、乙に対する行為については、正当防衛が成立すると考えます。これを前提として丙に対する行為について検討しましょう。私は、①(a.正当防衛・b.緊急避難)が成立すると考えます。
学生B.私は、Aさんの見解に反対です。この事例のように、防衛行為によって攻撃者以外の第三者の法益を侵害した場合、第三者との関係は、「正対不正」の関係とはいえないと考えるからです。私は、丙に対する行為については、②(c.正当防衛・d.緊急避難)が成立すると考えます。
学生A.私は、②(c.正当防衛・d.緊急避難)が成立するためには、当該第三者の法益を侵害したことによって初めて現在の危難を避けることができたという関係が必要だと考えるので、Bさんの見解には反対です。Cさんは、どう考えますか。
学生C.甲は、主観的には③(e.正当防衛・f.緊急避難)と認識して拳銃を発射し、丙に死亡の結果が発生しているので、丙に対する行為については、④(g.誤想防衛・h.誤想避難)であると考えます。そして、④(g.誤想防衛・h.誤想避難)についての判例の立場によれば、⑤(i.違法性・j.故意)が阻却されると考えます。
⑤にはiが入る。
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