問題
Q、相殺の抗弁が認められた場合、既判力はどの範囲で認められるか。
▼答え
1、これについて「両債権が存在し、それが相殺によって消滅した」ことに生じるとする考えもある。これは相殺したこと自体を含んでおかなければ、後に自働債権について前訴原告が支払を不当に免れ利得したといわれ得ることを理由とする。
2、しかしそもそも自働債権が不存在であるという点だけ既判力で拘束しておけば、不当に支払を免れたとの主張の前提を欠くことになる。そして紛争解決のためには両債権の不存在さえ確定すれば十分である。
よって相殺に関する既判力については、自働債権の不存在についてのみ及ぶと考えるべきである。
またこれが114条2項の文言にも合致する。
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