平成26年(刑法)

予備試験【短答】過去問|刑法平成26年第11問|解説番号245

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刑法245問目(予備)

問題

次の【事例】及び各【見解】に関し、下の記述は正しいといえるか。

【事例】
甲は、乙から裁判の証人として請求されてX裁判所から呼出しを受けたところ、証人尋問期日の3日前にその不出頭を懸念した乙から「俺が裁判所まで連れて行くから、証人尋問の日までここにいろ。」と言われ、見張りを付けられてマンションの一室に監禁された。甲は、自己の生命身体に対する危険は感じなかったものの、証人として出廷したくないと思い、同室に放火して騒ぎを起こし、見張りの者が消火に当たっている隙に逃亡しようと考え、同室の壁等に灯油をまいて放火し、同室の一部及びその上階の第三者が住む部屋の一部を焼損させた。

【見解】
(A説):当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが、当該行為が危難を避けるための一つの方法と認められれば、法益権衡の要件を欠いても過剰避難が成立する。
(B説):当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難は認められないが、「やむを得ずにした行為」でなくとも法益権衡の要件を充たしていれば過剰避難が成立し、また、「やむを得ずにした行為」であって、法益権衡の要件を欠く場合にも過剰避難が成立する。
(C説):当該避難行為が「やむを得ずにした行為」でなければ緊急避難、過剰避難とも認められず、過剰避難は、「やむを得ずにした行為」であって、かつ、法益権衡の要件を欠く場合に成立する。


【事例】に、更に「事件当時、部屋の窓から逃走するなどして脱出することは可能であった」との事情がある場合、A説からは甲に過剰避難が成立することになる。

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