刑法252問目(予備)
次の事例に関し、下の記述は正しいといえるか。
【事例】
甲は、知人のAをだまして、A所有の土地・建物(以下「本件不動産」という。)を時価よりも割安な価格で入手した上、他人に転売してもうけを得ようと考えた。そこで、甲は、Aに対し、実際にはそのような事実はないのに、「本件不動産は、現在は公表されていないが、大規模な地盤沈下のおそれのある地域にある。」と伝えた上、「公表される前に、俺が買ってやる。」と言った。Aは、元々、本件不動産を子供に相続させるつもりであり、他人に売り渡すつもりはなかったが、甲の言葉を信じ、低額でも処分しようと思い、某月1日、甲との間で、通常の取引価額の半額程度である2000万円で本件不動産を売却する旨の売買契約を締結した。そして、甲は、同月3日、本件不動産の自己への所有権移転登記を行うとともに、本件不動産の売買代金として、現金2000万円をAに支払い、同月5日、本件不動産の引渡しを受けた。その後、甲は、乙との間で本件不動産に関する売買の交渉を行ったが、その過程で、乙は、甲がAをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知った。しかし、乙は、甲から、売買代金として通常の取引価額よりも低額である3000万円を提示されたことから、同月20日、甲との間で本件不動産の売買契約を締結し、同日、乙への所有権移転登記を行った。一方、甲は、知人の丙に前記売買代金として現金3000万円を受け取らせ、B銀行の甲名義の預金口座に直ちに同代金を入金させることとし、同月18日、その旨を丙に指示した。丙は、それまでの経緯を知らないまま、甲の指示に従い、同月20日、乙から現金3000万円を受領した。ところが、丙は、多額の借金を抱えており、B銀行に向かう途中、「この現金を元に一もうけして借金返済に充てよう。」と考え、競馬場に行き、乙から受領した現金の全額を馬券購入に充てた。すると、総額で1000万円のもうけが出たので、丙は、同月21日、現金3000万円をB銀行の甲名義の預金口座に入金し、もうけに相当する現金1000万円を自己の借金返済に充てて費消した。
乙には、本件不動産の自己への所有権移転登記が完了した時点で、詐欺既遂罪の幇助犯が成立する。
詳細は▼をタップ