刑法344問目(予備)
学生A、B及びCは、不真正不作為犯の作為義務違反に関して次の【会話】のとおり検討している。これに関し、下の記述は正しいといえるか。ただし、【会話】中の「法律上の防止義務」とは、法令、法律行為、条理等に基づき法益侵害を防止する法的義務をいい、また、いずれの事例も結果回避は容易であったとする。
【会話】
学生A.「甲は、人通りの多い市街地で自動車を運転していた際、誤って乙を跳ねて重傷を負わせたが、怖くなったことから、乙を放置したまま逃走したところ、乙が死亡した。」という事例において、殺人罪の成否に関し、不真正不作為犯の作為義務を検討してみよう。私は、不真正不作為犯の作為義務違反は、法律上の防止義務を負う者が、法益侵害への因果関係を具体的・現実的に支配している状況下で防止措置を採らなかった場合に認められると考えるので、甲には作為義務違反が①(a.認められる・b.認められない)ことになる。
学生B.私は、不真正不作為犯の作為義務違反は、法律上の防止義務を負う者が、既に発生している法益侵害の危険を利用する意思で防止措置を採らなかった場合に認められると考えるので、この事例では、甲には作為義務違反が②(a.認められる・b.認められない)ことになる。
学生C.私は、不真正不作為犯の作為義務違反は、法益侵害に向かう因果の流れを自ら設定した者が、その法益侵害の防止措置を採らなかった場合に認められると考えるので、この事例では、甲には作為義務違反が③(a.認められる・b.認められない)ことになる。
学生A.次に、「一人暮らしをしている丙は、自宅に遊びに来ていた丁が帰った後、丁のたばこの火の不始末でカーテンが燃えているのに気付いたが、家に掛けてある火災保険の保険金を手に入れようと考え、そのまま放置して外出したところ、カーテンの火が燃え移って家が全焼した。」という事例において、非現住建造物等放火罪の成否に関し、不真正不作為犯の作為義務を検討してみよう。C君の立場からだと、丙には作為義務違反が④(a.認められる・b.認められない)ことになるよね。
学生B.先ほど話した私の立場からは、今の事例では、丙には作為義務違反が⑤(a.認められる・b.認められない)ことになる。
③にはaが入る。
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