刑法385問目(予備)
事実の錯誤に関する次の会話につき、下の記述は正しいといえるか。
【会話】
学生A.Xが甲を狙って殺人の故意で拳銃を発射し、甲にかすり傷を負わせ、さらに、その弾丸が偶然に乙に命中して乙を死亡させた事例について考えてみよう。私は、同一の構成要件の範囲内であれば、故意を阻却しないと考え、故意の個数については、①(a.故意の個数を問題としない・b.故意の個数を問題とし一個の故意を認める)立場を採ります。ですから、私は、事例の場合、故意犯としては乙に対する殺人既遂罪のみが成立すると考えます。
学生B.私は、基本的にはA君と同じ立場ですが、故意の個数について、②(c.故意の個数を問題としない・d.故意の個数を問題とし一個の故意を認める)立場に立ちます。A君の考えだと、③(e.意図した・f.意図しない)複数の客体に既遂の結果が発生した場合、いずれの客体に故意犯を認めるのか不明だからです。
学生C.B君の立場は、④(g.罪刑法定主義・h.責任主義)に反することになりませんか。私は、この原則を尊重し、⑤(i.客体の錯誤・j.方法の錯誤)の場合には故意を認めますが、⑥(k.客体の錯誤・l.方法の錯誤)の場合には故意を認めるべきではないと思います。ですから、私は、事例の場合、乙に対する殺人既遂罪は成立しないと考えます。
学生A.でも、C君の立場では、方法の錯誤と客体の錯誤との明確な区別が可能であることが前提となりますね。また、未遂犯や過失犯を処罰する規定の有無によっては、処罰の範囲が不当に⑦(m.狭まる・n.広がる)ことになると思います。一方で、B君の立場では、処断刑が不当に重くなりませんか。
学生B.私は、甲に対する罪と乙に対する罪の関係を⑧(o.併合罪・p.観念的競合)と考えますので、処断刑はA君の立場による場合と同一となります。
学生A.でも、複数の客体に既遂の結果が発生した場合、⑨(q.意図した・r.意図しない)客体についての⑩(s.故意犯・t.過失犯)を、刑を⑪(u.重くする・v.軽くする)方向で量刑上考慮するとなると、やはり問題ではないでしょうか。
④にはgが入る。
詳細は▼をタップ