平成24年(刑法)

予備試験【短答】過去問|刑法平成24年第6問|解説番号93

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刑法93問目(予備)

問題

次の事案に関する、下の記述は正しいといえるか?


【事例及び裁判所の判断】
被告人ら複数名が、被害者に対し、マンションの居室内において、長時間にわたって激しい暴行を加えたところ、被害者が隙を見て同居室から逃走した上、被告人らに極度の恐怖感を抱き、その追跡から逃れるため、逃走を開始してから約10分後、上記マンションから約800メートル離れた高速道路内に進入し、疾走してきた自動車に衝突されて死亡したという傷害致死被告事件において、裁判所は「被害者が逃走しようとして、高速道路に進入したことは、危険な行為ではあるが、被害者は、被告人らの激しい暴行を受けて極度の恐怖感を抱き、必死に逃走を図る過程で、とっさにそのような行動を選択したものと認められ、その行動が、被告人らの暴行から逃れる方法として、著しく不自然、不相当であったとはいえない。そうすると、被害者が高速道路に進入して死亡したのは、被告人らの暴行に起因するものと評価することができるから、被告人らの暴行と被害者の死亡との間の因果関係は肯定することができる」旨の判断を示した。


この裁判所の考え方によれば、上記事例において、被告人らが被害者に加えた暴行が短時間かつ軽微なもので、被害者も強い恐怖感を抱かなかった場合には、因果関係を否定する判断に結び付きやすいといえる。

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