刑訴34問目(予備)
次の【事例】は、甲に対する殺人被告事件の冒頭手続における法廷でのやり取りである。この法廷でのやり取りに関する下の記述は、正しいといえるか。
【事例】
(裁判長)「それでは開廷します。被告人は証言台の前に立ちなさい」。
(裁判長)「名前は何と言いますか」①。
(被告人)「甲と言います」。
(裁判長)「本籍、住所はどこですか」。
(被告人)「本籍は、H市I町1番です。住所も同じです」。
(裁判長)「職業は何ですか」。
(被告人)「無職です」。
(裁判長)「生年月日はいつですか」。
(被告人)「昭和30年1月1日です」。
(裁判長)「それでは、検察官、起訴状を朗読してください」。
(検察官)「公訴事実。被告人は、平成20年6月10日ころ、H市I町1番被告人方において、Vに対し、殺意をもって、持っていたナイフでその胸部を突き刺し、よって、同日ころ、同所において、同人を胸部刺傷に基づく失血により死亡させて殺害したものである。罪名及び罰条。殺人。刑法第199条」②。
(裁判長)「被告人には黙秘権という権利があります。被告人は終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができます。また、言いたいことを言うことができますが、この公判廷での被告人の陳述は、被告人にとって不利益な証拠とも利益な証拠ともなることを承知してください」③。
(裁判長)「それでは、まず被告人に聞きますが、今、検察官が述べた内容に間違いありませんか。」
(被告人)「間違いありません」。
(裁判長)「弁護人、御意見はいかがですか」④。
(弁護人)「被告人と同じです」。
(裁判長)「それでは、これで冒頭手続を終わり、証拠調手続に入ります」
④は、裁判長が、その訴訟指揮によって、弁護人の意見を確かめるために事実上行ったものであり、法令上要求されているものではない。
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