刑訴419問目(予備)
次の【事例】は、甲が自動車を運転中、これを自転車に乗っていたVに衝突させて同人を死亡させ、そのまま逃走を図った過失運転致死及び道路交通法違反(不救護・不申告)被告事件に関する公判での検察官の立証活動を記述したものである。各証人に対して書面、図面等を示してした尋問に関する次の記述は正しいといえるか。
【事例】
検察官Xは、事故現場の道路状況、スリップ痕の位置、Vの自転車が転倒していた場所、自動車の破片が散乱していた位置等が記載された実況見分調書を作成した警察官Aに対する証人尋問において、Aが「事故現場の道路状況等を正確に観察し、その結果を実況見分調書に正確に記載した。」旨証言したので、(ア)同実況見分調書をAに示して尋問したところ、Aは、「この実況見分調書は、今話をした実況見分調書で間違いありません。」旨証言した。
次に、Xは、事故状況を目撃し実況見分に立ち会ったBに対する証人尋問において、Bが「交差点の中央付近で衝突した。」旨証言したことから、(イ)現場付近の地図の写しを示し、事故の際にBが立っていた位置及び衝突位置を同地図の写しに記入するよう求めたところ、Bは、同地図の写しに、立っていた位置及び衝突位置を記入した。
続いて、Bは、「事故後の被告人運転車両の動きは覚えていない。」旨証言したが、捜査段階においては、Xに対し、「被告人は、事故後、コンビニ前の路上で一旦自動車を止め、被害者の様子を見たものの救護措置を講ずることなく逃走した。」旨供述していたことから、Xは、「被告人は、その後、コンビニ前の路上で、一旦自動車を止めていなかったか。」などの誘導尋問を行った。それにもかかわらず、Bが「覚えていない。」旨証言したことから、Xは、(ウ)コンビニエンスストアが写った事故現場付近の写真を示して尋問したところ、Bは、「思い出しました。事故現場から約30メートル西方のコンビニ前の路上で、被告人は、一旦自動車を止め、被害者の様子を見たものの救護措置を講ずることなく逃走しました。」旨証言した。
また、Xは、甲の自動車の一部破損したヘッドライトと路上に散乱していたガラス片の各破断部分が整合することを立証するため、同ガラス片を押収した警察官Cに対する証人尋問において、(エ)同ガラス片をCに示し、これをCが自ら押収したかどうかを尋問したところ、Cは、「このガラス片は間違いなく自らが押収した物である。」旨証言した。
さらに、Xは、甲の自動車がVの自転車のどの位置に衝突したのかを鑑定したDに対する証人尋問において、Dに対し、衝突箇所を尋問し、Dは、「自転車の前輪右側部と自動車の左前部が衝突した。」旨証言した。Xは、Dが衝突状況をシミュレーションした図面を鑑定書に添付していたことから、(オ)同図面を法廷内のスクリーンに映写した上、事故状況の詳細について尋問したところ、Dは、同図面を利用して事故状況を証言した。
ウ)の趣旨は「書面又は物に関しその成立、同一性その他これに準ずる事項について証人を尋問する場合において必要があるとき」にあたる点にある。
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