論文対策|民事訴訟法

論文対策|民事訴訟法第229問

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問題
Q、基準時前に存在した取消権は、既判力によって遮断されるか。

▼答え

1、権利に付着した瑕疵として取消権が基準時前に存在した以上、それを行使する手続保障は与えられていたので既判力による遮断が認められるべきである。
2、これについては①取消権行使を既判力で制限すると、民法が定めた除斥期間が意味をなさなくなる、②取消権付きの権利として既判力を確定すれば足りる、との批判がある。
3、しかし以下からその批判には理由がないと思われる。
まず①除斥期間はその期間内に行使しなければ失権することをもって長期にわたる法的不安定状態を回避するために設けられたものであり、その期間全てにおいて行使可能なことを保障したものではない。
②また取消権付きの権利を既判力で認めるとすると、他にも「抗弁できる事由が付いた権利」として基準時前の弁済を後訴で主張できる余地が概念的に生じるなど、範囲が不明確になるおそれがある。
4、それに取消事由より重大な瑕疵である無効事由が遮断されることとの均衡からも、取消権は遮断されると解すべきである。


 

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